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外務省専門職員(通称:外専)は、高い語学力と地域の専門知識を武器に、世界を舞台に活躍する「外交のスペシャリスト」です。国家公務員試験の中でも非常に特殊かつ難易度の高い試験であり、憲法・国際法・経済学の「記述式試験」やハイレベルな「外国語試験」が課されるため、独学での合格は極めて困難と言われています。
予備校選びの前に、まずは外務省専門職員試験がなぜこれほどまでに予備校を必要とするのか、その特殊性を理解しておきましょう。
外務省で働く職員には、大きく分けて「国家総合職(いわゆるキャリア官僚)」と「外務省専門職員(語学・地域のスペシャリスト)」の2種類が存在します。国家総合職が数年おきに様々な部署や国を異動し、外交政策の全体的な企画立案を行うジェネラリストであるのに対し、外務省専門職員は特定の言語(英語、フランス語、中国語、アラビア語など数十言語)と担当地域に深く精通し、その国の文化や歴史、政治情勢を熟知した上で、現地の要人との交渉や情報収集、本省への政策提言を行うプロフェッショナルです。
外務省専門職員試験は、他の公務員試験(地方上級や国家一般職など)とは全く異なる試験体系を持っています。
基礎能力試験(多肢選択式): いわゆる教養試験。数的処理や文章理解、自然科学、人文科学など。
専門試験(記述式): 憲法、国際法、経済学の3科目。すべて論述式の記述試験であり、ここが最大の難関となります。
外国語試験(記述式): 和文外国語訳、外国語和文訳。英語のほか、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、アラビア語、ペルシャ語、ミャンマー語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語、朝鮮語などから選択します。
時事論文試験(記述式): 最近の国際情勢や社会問題に対する見識を問う小論文。
人物試験: 個別面接、外国語面接、グループディスカッション。
身体検査: 外交官として世界各地(過酷な環境の国を含む)で勤務するための健康状態の確認。
外務省専門職員試験において独学が推奨されない最大の理由は、「専門試験がすべて記述式であること」です。択一式の問題であれば、過去問を解いて正解・不正解を確認するだけで学習を進められますが、論述試験は「自分の書いた答案が採点基準を満たしているか」「法的な論理構成が破綻していないか」を客観的に自己評価することが不可能です。
さらに、「国際法」は他の公務員試験ではあまり深く出題されない科目であり、市販の公務員向け参考書だけでは外専レベルの深い論述に対応できません。プロの講師による定期的な「添削」と「フィードバック」が、合格への絶対条件となります。
数ある公務員予備校の中から、外専対策として失敗しない学校を選ぶための基準を解説します。
一般的な「国家公務員コース」に毛が生えた程度のものではなく、外専特有の記述試験(憲法・国際法・経済学)や外国語試験に特化したカリキュラムが組まれているかが最重要です。
講義を聴くだけでなく、実際に手を動かして答案を作成し、それを専門の講師が添削してくれる回数や質を確認しましょう。添削からの返却スピードも、学習リズムを作る上で重要です。
外専の要である外国語試験の対策や、2次試験での外国語面接のシミュレーションができる環境が整っているかは大きな差になります。
外交官には、高いコミュニケーション能力、ストレス耐性、そして異文化への適応力が求められます。過去の合格者のデータに基づいた精度の高い模擬面接やグループディスカッション対策が行われているかを確認しましょう。
学習期間が1年以上に及ぶ過酷な試験です。モチベーションの低下や学習計画の遅れが生じた際に、外専試験に精通した講師やスタッフに直接相談できる環境がある予備校を選びましょう。
| 予備校名 | 授業形態 | 最大の特徴 | 記述式対策 | 2次試験(面接)対策 | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|---|
| TAC (Wセミナー) | 通学・通信 | 圧倒的な合格実績と豊富な情報量 | 専用テキストと定期的な反復添削 | 過去データに基づく徹底した模擬面接 | 実績重視で、王道ルートで学びたい人 |
| LEC | 通学・通信 | 法律科目の深い理解と段階的な指導 | スーパー答案練習会での実践力強化 | リアルな模擬面接と段階的な人物評価対策 | 法律科目を基礎から論理的に学びたい人 |
| 喜治塾 | 通学・通信 | 少人数制による超手厚い個別サポート | 講師による回数無制限の直接個別添削 | 塾長・講師陣による徹底した自己分析支援 | 短期決戦を目指す人、個別指導を好む人 |
| 伊藤塾 | 通学・通信 | 司法試験ノウハウを活かした法的思考力育成 | 法律専門校ならではの高度で緻密な添削 | 国家総合職のノウハウを応用した面接指導 | 憲法・国際法を極めたい人、総合職併願の人 |
| アガルート | 通信専用 | オンライン特化の高いコスパと利便性 | Webシステムを通じた効率的な添削指導 | 面接カード添削とオンラインでの模擬面接 | 隙間時間を活用したい人、費用を抑えたい人 |
ここからは、外務省専門職員の対策講座を開講している、または試験科目の対策に活用できるおすすめの予備校を順不同で詳しく紹介します。
公務員試験、特に外交官や国家総合職といった難関試験において、圧倒的な知名度と合格実績を誇るのが「TAC(Wセミナー)」です。外務省専門職員の最終合格者の大半がTACの受講生・出身者で占められている年もあるほど、業界のトップランナーと言えます。
法律系資格や公務員試験全般で強固な基盤を持つ「LEC東京リーガルマインド」。外務省専門職員向けにも特化した「Standardコース」などを展開しており、長年の法律指導ノウハウを活かした記述対策に強みを持っています。
東京都新宿区高田馬場に校舎を構える、開塾25年以上の歴史を持つ公務員試験専門塾です。大手予備校とは一線を画す「少人数制」「アットホームな距離感」が最大の特徴で、知る人ぞ知る名門塾として外務省専門職員試験でも実績を上げています。
外務省専門職員専用のフルパッケージコースをメインで押し出していない予備校でも、特定科目の補強や基礎固め、併願先の対策として強力な武器になる学校があります。
司法試験や予備試験で圧倒的な実績を持つ法律の専門校です。国家総合職向けの講座は充実していますが、外専専用コースというよりは、法律の専門性を高める場として活用できます。特に「憲法」や「国際法」の根底にある法的思考力(リーガルマインド)を深く学ぶために、単科で受講したり、基礎固めとして利用する上位層の受験生もいます。
オンラインに特化した通信講座で近年急成長している予備校です。フルカラーの分かりやすいテキストと、倍速再生などが可能な使いやすい受講システムが魅力。国家総合職や地方上級向けの講座がメインですが、「基礎能力試験(数的処理など)」の対策や、経済学の基礎インプットを安価かつ効率的に済ませたい場合に活用できます。
「非常識合格法」という、出題範囲を絞り込んで効率的に合格点をもぎ取る独自メソッドを持つ通信予備校です。外専の記述試験に完全対応したパッケージはありませんが、教養試験対策や、心理系・福祉系などの専門知識を問う他の公務員試験との併願を考える際に、コストパフォーマンスの良さが光ります。
生講義(対面授業)に強いこだわりを持つ全国展開の予備校です。外専特化の記述対策よりも、基礎能力試験の徹底的な演習や、地域密着型の強みを活かした地方公務員との併願対策、そして対面での「模擬面接」の場数を踏むためのスポット利用として価値があります。
外務省専門職員試験は、試験範囲が膨大であり、記述対策に時間がかかるため、標準的な学習期間は「1年〜1年半」とされています。(※喜治塾などの短期特化型を除く)
大学3年生の春から夏にかけて学習をスタートし、翌年の試験に臨むのが王道のパターンです。
大学3年の4月〜8月頃。まずは「憲法」「国際法」の基礎概念のインプットを開始します。法律特有の言い回しや論理展開に慣れる時期です。同時に、基礎能力試験の要となる「数的処理」の毎日演習をスタートさせます。語学試験に向けて、選択する外国語の単語力・文法力の見直しも行います。
大学3年の9月〜1月頃。「経済学」の学習を本格化させるとともに、憲法と国際法の「論文構成」の練習を始めます。最初はテキストを見ながらでも良いので、予備校の添削指導を受けながら「法的に正しい答案の型」を身につけます。時事問題のニュースや外務省の外交青書にも目を通し始めます。
大学3年の2月〜4月頃。専門3科目の知識を何も見ずに論述できる状態へと引き上げていきます。過去問演習を繰り返し、制限時間内に答案を書き上げるペース配分を体得します。また、外国語の和訳・外国語訳の演習スピードを上げ、時事論文の構成練習も並行して行います。各予備校の模擬試験を受験し、弱点を洗い出します。
大学4年の5月〜試験当日。第1次試験(例年6月上旬頃)に向けて、知識の穴を埋める暗記と体調管理を徹底します。1次試験終了後は、息を抜く間もなく2次試験(7月頃)に向けた面接対策に全振りします。予備校の模擬面接、外国語面接のロールプレイ、グループディスカッションの練習を連日繰り返し、本番の圧迫感に耐えうる精神力を養います。
Q. 英語以外の言語(マイナー言語)でも受験可能ですか?
可能です。むしろ歓迎される傾向にあります。
外務省専門職員は、世界中のあらゆる地域に赴任するため、フランス語、スペイン語、中国語といった主要言語だけでなく、アラビア語、ロシア語、ペルシャ語、ミャンマー語などの言語を選択して受験する枠が用意されています。大学で特定の言語を専攻している方は、その言語で受験することで大きなアドバンテージを得られます。ただし、予備校側でマイナー言語の試験添削までフルサポートできるかは学校によるため、事前の相談が必要です。
Q. 予備校の費用はどれくらいかかりますか?
概ね30万円〜45万円程度が相場です。
TACやLECのスタンダードな外専コースを申し込んだ場合、通学・通信の形態にもよりますが、おおよそ30万円台後半から40万円台前半になることが多いです。喜治塾のフルサポートクラスも同等の価格帯です。決して安い金額ではありませんが、大学の生協(大学生協)を通じた割引制度や、早期申込割引、各予備校が実施する奨学生試験などを活用することで、数万円単位で費用を抑えることが可能です。
Q. 社会人からでも外務省専門職員は目指せますか?
年齢制限の範囲内であれば、十分に目指せます。
外務省専門職員の受験資格は、原則として「21歳以上30歳未満(受験年の4月1日時点)」となっています。この要件を満たしていれば、民間企業での勤務経験を持つ社会人や、既卒のフリーターからでも挑戦可能です。実際、多様なバックグラウンドを持つ人材が求められており、社会人経験を面接でうまくアピールできれば強みになります。社会人の場合は学習時間の確保が最大の課題となるため、通信講座の活用や、喜治塾のような個別にスケジュールを組んでくれる予備校を選ぶことが合格への近道です。
外務省専門職員試験は、生半可な覚悟や独学で突破できるほど甘い試験ではありません。しかし、正しい方向性で努力し、適切なプロの指導を受ければ、決して手の届かない夢ではありません。
王道で豊富なデータと仲間を求めるなら「TAC / Wセミナー」
法律系科目の深い理解と段階的な記述対策を重視するなら「LEC」
短期集中や少人数制の手厚いパーソナルサポートを望むなら「喜治塾」
それぞれの予備校には明確なカラーと強みがあります。まずは各予備校の公式ホームページからパンフレットを取り寄せ、無料のガイダンスや個別の受講相談に参加してみてください。実際に講師の話を聞き、テキストを手に取ってみることで、「ここでなら1年間厳しい勉強を頑張れる」と思える学校が必ず見つかるはずです。日本の国益を背負い、世界で活躍する外交の最前線へ、第一歩を踏み出しましょう。